Tuba

Bohland und Fuchs ボーラント・ウント・フックスについて【チューバ】

投稿日:06/09/2020 更新日:



みなさん、こんばんは!

前回のヨークモデルチューバについての記事が多くの方々に見ていただけてとても嬉しく記事にしてよかったなと思います。


まだ見てないという方はこちらから↓

 



さてさて、前回はC管界のレジェンド的存在のヨークをお送りしましたので今回はB管界のレジェンド「ボーラント・ウント・フックス」について書いていきたいと思います。

 

目次

Bohland und Fuchs ボーラント・ウント・フックス

 


ボーラントウントフックス社は、1850年旧ドイツで現在チェコにあるクラスリツェにグスタフ・ボーラントによって設立され、その後マーティン・フックスが合流。

 

会社の工房は、クラスリツェの隣接している町「ジルバーバッハ」にあり、500人にも及ぶ職人が働き、金管楽器を主に製作し、当時ドイツの軍楽隊などでも愛用されていたメーカーでしたが、第二次世界対戦において楽器製作が困難になり、1945年当時ドイツ領だったクラスリツェがチェコ領になり、ドイツ軍の撤退などにより政府体制が変わると、国によって会社の財産が没収され、国有化されました。


そして、第二次世界大戦後チェコに出来たアマティ社により、B&Fの建物・楽器のデザイン・図面などを受け継ぎ、1960年まで「Amati B&F」という名前で製作・販売をしていました。


(そのほかにもLignatoneというシリーズとしてこのB&F社の図面などを用いて製作されていました。)



同じ職人も働いていたはずなのですが、なぜかアマティ社に変わった楽器はオリジナルほどのクオリティ・製作技術は残念ながら出せていません(チューバに関して)

 

B&Fの工房

なぜこのメーカーがB管レジェンドなのか?



1945年までしか無かった会社なので日本で中古でも出回ることはほとんどなく知らない方がほとんどだと思いますが、なぜこのメーカーがヨーク社のようにレジェンド的存在なのか説明します。



こちらの記事も参考にしていただけると理解しやすいと思います!

 




ドイツや世界中でスタンダードなB管チューバとなりつつあるマイネルウェストン社197ヒルガースモデル、このモデルのオリジナルが先ほど説明したB&F社で、元ジャーマンブラス、ウィーンフィルチューバ奏者だったヴァルター・ヒルガースがベルリンフィルハーモニー管弦楽団に客演した際、ベルリンフィルの楽器倉庫に眠っていたB&Fを安価で買取し、修理・改良をして使った楽器のコピーが現在の197なのです。


(この楽器については先ほど紹介しましたブログの記事をぜひ読んでください)

 

ウィーンフィル時代のヒルガースとオリジナルB&F




ジャーマンブラスでもこの楽器を使用していました。

楽器自体はチューバの中でも大きいサイズ、いわゆるカイザーチューバと呼ばれていますが、当時の職人たちのレベルの高いハンドメイド技術で出来た管体は薄く、カイザーチューバの見た目にしては軽く、そしてその独特な暗い豊かな響きを持ったB&Fをマイネルウェストンの最新技術で再現したヒルガースモデルは彼の生徒を中心にドイツで流行し、今やスタンダードになっています。

 

入手は非常に困難?!




1945年までしかなかったメーカーなので、今現在残ってるものは少なく、残っていたとしても状態がとても悪いものも多く、入手は非常に困難な状態です。


197も素晴らしい楽器ですが、当時のハンドメイド技術で作られたオリジナルB&Fを求めてドイツや世界中のチューバ奏者がこの楽器を日々探しています。


筆者も偶然状態のよいB&Fのカイザーチューバに出会うことができ、今も演奏しています。

 

メルトン195/2ファフナー(左)とB&F (右)



メルトン197ヒルガースモデル(左)とB&F(右)

筆者の師匠ベルリン国立歌劇場チューバ奏者トーマスケラーのB&F




筆者の二人目の師匠コミッシェ歌劇場チューバ奏者セバスティアン・ヴァーゲマンの4/4B&F(修理・改良済み)



主管が違うタイプのB&F(左)とAmati社のAmati B&Fモデル(右)



ドイツ・ベルリン歌劇場チューバ奏者ヴィケンティオス・ジョナニディスのB&F(改良済み)



見にくいですが、これがヒルガースが使用、現在ベルリンフィルが所有している197の元になったB&F




B&F 4/4モデル

B&F



最近では、ドイツ軍楽隊に所属するダニエル・リッダーがWesse社に依頼し、彼が当時所有していたB&Fを計測、コピーしたカイザーモデルが発売されています。

 



どうでしたでしょうか?

今回は今は無くなってしまったボーラント・ウント・フックス社について書きました。

欲しいと思ってもなかなか出回ることはありませんが、根気よくインターネットサイトを探せば見つかるかもしれません。


それでは、Tschüß!

 

-Tuba
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

チューバにはどんなメーカーがあるの?パート1

みなさん、こんにちは!今回はみなさんお待ちかねの(?!)チューバについてです!!チューバのことをあまり知らない方のために書こうと思っていますが、チューバ吹いてる方もぜひ続きをご覧ください。 目次 チュ …

[チューバ]チューバにはどんなメーカーがあるの?番外編

みなさん、こんばんは! さてさて気づいたら先週でこの「Takuyatubablog」閲覧回数が2000回を超えました。 毎日ご覧になっていただいてる方本当にありがとうございます。さらに毎日更新地道にが …

青色がおしゃれなユルゲン・フォークト 社チューバミュート【メイド・イン・ジャーマニー】

みなさん、こんばんは! 気づけば週末ですね、日本では花粉が飛び始めて花粉症の方には大変な季節がきましたね… さてさて、今回はチューバのストレートミュートについて書きたいと思います。 近現代 …

金管楽器掃除が楽になる魔法のアイテム! J.マインルシュミット社【Hydro Jet】

みなさん、こんにちは!金管楽器を演奏していていつも困るのが、どんなに歯を磨いて汚れなどを気にしていても埃やオイルの相性など時間が経つと管内に汚れが溜まっていき、気づけば抜き差し管に汚れが目立つようにな …

名指揮者カラヤンに世界一と言わせた男「Heinz Forker」

みなさん、こんばんは!前回の記事1913年から1952年までドレスデン国立歌劇場でヴィオラ奏者として活躍し、同時に作曲家としても活動していたOskar Geier(オスカー・ガイアー)について書きまし …

チューバ奏者 岸本拓也


          岸本拓也 / Takuya Kishimoto

ドイツの首都ベルリン在住。
日本の音大を卒業後、ドイツの音大で研鑽を積み、現在ジャーマンフィルムオーケストラ・バーベルスベルク首席テューバ奏者。

アーカイブ