みなさん、こんばんは!
前回のヨークモデルチューバについての記事が多くの方々に見ていただけてとても嬉しく記事にしてよかったなと思います。
まだ見てないという方はこちらから↓
さてさて、前回はC管界のレジェンド的存在のヨークをお送りしましたので今回はB管界のレジェンド「ボーラント・ウント・フックス」について書いていきたいと思います。
目次
Bohland und Fuchs ボーラント・ウント・フックス
ボーラントウントフックス社は、1850年旧ドイツで現在チェコにあるクラスリツェにグスタフ・ボーラントによって設立され、その後マーティン・フックスが合流。
会社の工房は、クラスリツェの隣接している町「ジルバーバッハ」にあり、500人にも及ぶ職人が働き、金管楽器を主に製作し、当時ドイツの軍楽隊などでも愛用されていたメーカーでしたが、第二次世界対戦において楽器製作が困難になり、1945年当時ドイツ領だったクラスリツェがチェコ領になり、ドイツ軍の撤退などにより政府体制が変わると、国によって会社の財産が没収され、国有化されました。
そして、第二次世界大戦後チェコに出来たアマティ社により、B&Fの建物・楽器のデザイン・図面などを受け継ぎ、1960年まで「Amati B&F」という名前で製作・販売をしていました。
(そのほかにもLignatoneというシリーズとしてこのB&F社の図面などを用いて製作されていました。)
同じ職人も働いていたはずなのですが、なぜかアマティ社に変わった楽器はオリジナルほどのクオリティ・製作技術は残念ながら出せていません(チューバに関して)
なぜこのメーカーがB管レジェンドなのか?
1945年までしか無かった会社なので日本で中古でも出回ることはほとんどなく知らない方がほとんどだと思いますが、なぜこのメーカーがヨーク社のようにレジェンド的存在なのか説明します。
こちらの記事も参考にしていただけると理解しやすいと思います!
ドイツや世界中でスタンダードなB管チューバとなりつつあるマイネルウェストン社197ヒルガースモデル、このモデルのオリジナルが先ほど説明したB&F社で、元ジャーマンブラス、ウィーンフィルチューバ奏者だったヴァルター・ヒルガースがベルリンフィルハーモニー管弦楽団に客演した際、ベルリンフィルの楽器倉庫に眠っていたB&Fを安価で買取し、修理・改良をして使った楽器のコピーが現在の197なのです。
(この楽器については先ほど紹介しましたブログの記事をぜひ読んでください)
ジャーマンブラスでもこの楽器を使用していました。
楽器自体はチューバの中でも大きいサイズ、いわゆるカイザーチューバと呼ばれていますが、当時の職人たちのレベルの高いハンドメイド技術で出来た管体は薄く、カイザーチューバの見た目にしては軽く、そしてその独特な暗い豊かな響きを持ったB&Fをマイネルウェストンの最新技術で再現したヒルガースモデルは彼の生徒を中心にドイツで流行し、今やスタンダードになっています。
入手は非常に困難?!
1945年までしかなかったメーカーなので、今現在残ってるものは少なく、残っていたとしても状態がとても悪いものも多く、入手は非常に困難な状態です。
197も素晴らしい楽器ですが、当時のハンドメイド技術で作られたオリジナルB&Fを求めてドイツや世界中のチューバ奏者がこの楽器を日々探しています。
筆者も偶然状態のよいB&Fのカイザーチューバに出会うことができ、今も演奏しています。
最近では、ドイツ軍楽隊に所属するダニエル・リッダーがWesse社に依頼し、彼が当時所有していたB&Fを計測、コピーしたカイザーモデルが発売されています。
どうでしたでしょうか?
今回は今は無くなってしまったボーラント・ウント・フックス社について書きました。
欲しいと思ってもなかなか出回ることはありませんが、根気よくインターネットサイトを探せば見つかるかもしれません。
それでは、Tschüß!